サステナビリティへの
取り組み

  • 私たちミヨシ油脂は、「人によし、社会によし、未来によし。」という経営理念のもと、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3要素、いわゆる「ESG」を重視した経営を推進してまいります。
    具体的には、国連の持続的な開発目標「SDGs」に事業活動を関連づけ、環境問題、社会問題、人権問題などの解決に寄与していきます。
    私たちはこれを企業の責務とは考えず、むしろチャンスとして捉えています。SDGsに向けた取り組みを中期経営計画の中に取り入れ、新たな製品やサービスを生みだすことによって、自社にイノベーションをもたらします。

    SDGsの目標を達成するためには、まだ足りない部分もありますが、逆に企業としての「伸びしろ」がそこにあると考えています。持続的な社会の構築なくして、弊社の永続的な発展はありえません。企業としてはもちろん、社員一人ひとりがSDGsのゴールである2030年に向けて何ができるかを考え、全社を挙げて取り組んでいきたいと思います。

  • 三木 逸郎

    代表取締役社長兼CEO兼CBO

    三木 逸郎

マネジメント体制について

当社は、SDGsやESGに関わる世の中の情勢を踏まえて、サステナビリティの視点を取り入れた経営を促進するため、2020年11月26日に「サステナビリティ推進委員会」を設置いたしました。
委員長は社長が務め、委員会ではサステナビリティに関する全社方針や目標の策定、各本部のモニタリングなどの審議や決議を行っています。

  • SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS 世界を変えるための17の目標
  • SDGs(持続可能な開発目標)とは

    2015年9月の国連サミットで採択された
    「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標です。
    SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを誓っています。

  • 3.すべての人に健康と福祉を

    • 取り組み

      2030年までに製品中のトランス脂肪酸含有率を
      1%未満にします。

      健康への影響が指摘される「部分硬化油」を使わない製品を提供することで、あらゆる年齢の人々の健康的な生活の確保に貢献していきます。

    • 2023年度進捗状況

      2023年当社取り扱い製品中のトランス脂肪酸含有率は平均約1.3%となりました。

      トランス脂肪酸について

    具体的な活動

    当社では、トランス脂肪酸低減を推進しており、安心して皆さまに食べていただける製品を製造しております。

    トランス脂肪酸とは、油脂の構成成分である脂肪酸の一種です。主に、液状の植物油でマーガリンやショートニングをつくる際に、液状の植物油を、固体や半固体にする工程で生成する工業由来のものです。また、牛など反すう動物の胃で微生物により生成されるため、牛肉や乳製品にもトランス脂肪酸は含まれています。

    欧米の研究では、トランス脂肪酸を多量に摂取すると冠動脈疾患にかかるリスクが高くなることがあると報告されており※1、トランス脂肪酸の健康への影響が心配されています。そのためWHO(世界保健機関)では、すべての食品や油脂に含まれる工業由来トランス脂肪酸量を油脂中2%以下に、また摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満に留めることを推奨※2しています。

    このような流れから、当社においても10年以上前から、トランス脂肪酸の低減に取り組んでいます。液状の植物油を主体に、油脂を構成する脂肪酸を入れ替えて固体や半固体にするなどの技術で、トランス脂肪酸の生成を抑えながらマーガリンやショートニングに適する油脂をつくっているため、製品中の平均トランス脂肪酸含量も低く抑えることができます。

    その結果、当社が使用する原料油脂中のトランス脂肪酸含量は平均で2%未満となっています。この取り組みを続けていくことで、「3.すべての人に健康と福祉を」に貢献していきます。

    • ※1 農林水産省「トランス脂肪酸の摂取と健康への影響」から引用
    • ※2 WHO「総脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の摂取に関するガイドライン」から引用

    当社製品における
    トランス脂肪酸含有量一覧

    当社製品におけるトランス脂肪酸含有量一覧

    その他食品のトランス脂肪酸含有量

    • 和牛サーロイン

      和牛サーロイン

      0.77g/100g

    • バター

      バター

      1.9g/100g

    • 生クリーム

      生クリーム

      1.1g/100g

    • ナチュラルチーズ

      ナチュラルチーズ

      0.81g/100g

    ※当社製品を除くトランス脂肪酸含有量は、農林水産省「トランス脂肪酸に関する情報 食品中の脂質とトランス脂肪酸濃度」より引用。

  • 5.ジェンダー平等を実現しよう

    • 取り組み

      2030年までに管理職の女性社員比率を10%以上にします。
      社員活躍推進委員会「きらり!」の活動を推進し、女性管理職比率を向上させることで、性別に関わらず平等に機会を与えられる職場を実現していきます。

    • 2023年度進捗状況

      2023年管理職の女性社員比率は10.3%となりました。

    具体的な活動

    当社では、「女性の管理職比率10%以上達成」に向けて、ダイバーシティ講演会や階層別研修などによる意識醸成を行うとともに、社員が働きやすい職場環境や制度を整備し充実させることで「5.ジェンダー平等を実現しよう」に貢献していきます。

  • 6.安全な水とトイレを世界中に

    • 取り組み

      2030年までに約1千万t/年の排水処理に貢献します。
      排水処理に貢献できる製品提供を全世界に拡大し、世界中の安全な水利用に貢献していきます。

    • 2023年度進捗状況

      2023年度は、エポフロック(重金属補集剤)の提供により、503.5万tの排水処理に貢献しました。

    具体的な活動

    当社では、界面活性剤の技術を応用して、工場などから発生するさまざまな排水を処理する製品を製造・販売しています。

    私たちは河川水や地下水や雨水を、生活用水や産業用水として利用し、利用した水は再び海や川に戻しています。このサイクルを回していく上で、不純物や有害物を取り除かずにその水をそのまま川や海に流してしまうと、汚染につながることはもちろん、環境や人体への影響にも繋がってしまうため、特に工場排水においては基準に合わせた浄化処理を行い、自然環境への負荷を少なくして放流する必要があります。

    当社が製造している排水処理剤は、排水処理の際に使用される薬剤で、「キレート結合」と呼ばれる分子同士の結合により、有害な重金属や物質をしっかりと捕集、無害化することで、きれいな水を海や川に送り出すことができます。さらに、排水処理の過程では、「スラッジ」と呼ばれる重金属を含む「汚泥」の発生量を低減することが可能なため、汚泥の処理コストを大幅に削減することもできます。

    当社においては、この排水処理剤を全世界に拡売することで、世界中の安全な水利用に寄与し、「6.安全な水とトイレを世界中に」に貢献していきます。

    排水処理のイメージ図

    排水処理のイメージ図
  • 7.エネルギーをみんなに
    そしてクリーンに

    • 取り組み

      2030年までに製品1トンあたりのCO2排出量を
      2006年比50%以上削減します。

      高効率エネルギー設備への投資と継続的改善活動(アドバンス活動)、バイオガス発電設備の導入により低炭素社会実現へ貢献していきます。

    • 2023年度進捗状況

      2023年CO2排出量は2006年比28%(前年対比2.1ポイント減)削減となりました。神戸工場にてバイオガス発電稼働中。

    具体的な活動

    当社神戸工場では、油脂製品の製造過程で発生する排水を微生物により分解・発酵することにより得られたバイオガスを用いて発電を行っています。

    「バイオマス発電」と「バイオガス発電」はよく聞く言葉かと思いますが、「バイオマス発電」は木質廃材、食品廃棄物などの有機性廃棄物を直接燃焼するのに対し、「バイオガス発電」はそれらを発酵槽で発酵させることでバイオガスを生成、燃料とし、発電する仕組みです。バイオガス発電は、直接燃焼するわけではないため、CO2の排出量が抑えられ、ガスを作った原料の残りは肥料として二次利用も可能なことから、“循環型”再生可能エネルギーと呼ばれています。

    当社においては、油脂製品を製造する過程で出た排水をタンクに貯蔵し、空気(酸素)に触れない状態で活性する微生物の働きで分解・発酵してバイオガスを発生させ、それを燃料としてバイオガス発電機により発電を行っています。このようなバイオガス発電は、国内でも初の取り組みで2020年6月より順調に稼働しております。

    持続可能で環境にやさしい再生可能エネルギーを生む発電事業として、当社としても再生エネルギーの普及を推進し、「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に貢献していきます。

    ※2020年12月現在当社調べ

    バイオガス発電装置

    • バイオガス発電の装置
    • 発電機

    バイオガス発電のイメージ図

    バイオガス発電のイメージ図

    ※本取り組みは、ヤンマーエネルギーシステム株式会社様の発電機を使用して進めています。
    https://www.yanmar.com/jp/energy/
    cases/83890.html

  • 11.住み続けられる
    まちづくりを

    • 取り組み

      2030年までに非分解性プラスチック削減により
      CO2を約100t/年削減します。

      生分解性素材を拡販することで、都市で生成される廃棄物による環境負荷を低減し持続可能なまちづくりに貢献します。

    • 2023年度進捗状況

      2023年度は、約20.7tのCO2削減に貢献しました。

    具体的な活動

    当社では、植物由来成分で環境に配慮した生分解性素材を製造し、販売をしています。

    プラスチックは、今日の私たちの生活には欠かせない素材となっています。しかし、その約9割がリサイクルされず、ゴミとなり、一部は海へと流失しているため、近年世界的に大きく取り上げられています。この問題について各国では、“包装容器に使用されているプラスチックを減らしていこう”という動きがすでに始まっており、レジ袋の有料化や紙ストローへの変更など、日本でも各企業が多くの施策を取り入れています。日本政府からも、「プラスチック資源循環戦略」が打ち出され、「使い捨て用途分野の削減」「CO2排出削減」「バイオプラスチックの導入を2030年までに200万tとする」ことが目標として掲げられています。

    当社で製造販売している生分解性素材は、長年培ってきた乳化・分散技術を駆使し、ポリ乳酸樹脂と呼ばれる植物性のプラスチック素材を使用した製品となっています。ポリ乳酸樹脂は、ジャガイモやトウモロコシなどの天然原料から得られるデンプンに酵素を作用させて得られる乳酸を原料とした樹脂であり、土壌に廃棄した場合、土壌に存在する微生物によって水(H2O)と二酸化炭素(CO2)に分解されます。二酸化炭素は植物が光合成で吸収し酸素を発するので、総合的にみると、地球温暖化の原因となるCO2量は増加しないのです。

    そのため、汎用のプラスチックに比べCO2の排出を抑えられるというメリットから、昨今のプラスチックのごみ問題の解決に有効な製品となっています。

    当社では、この生分解性素材をさまざまなお客様に提供することで、プラスチックごみ問題の解決やCO2の削減に寄与し、「11.住み続けられるまちづくりを」に貢献していきます。

    生分解性素材のサイクルイメージ図

    生分解性素材のサイクルイメージ図
  • 13.気候変動に具体的な対策を

    • 取り組み

      2030年までに製造に係わる全ての冷媒を
      順次自然冷媒に切替しフロンR22を全廃します。

      温室効果ガスやCO2排出の抑制・削減への取り組みを進めることで、気候変動対策に貢献していきます。

    • 2023年度進捗状況

      2021年自然冷媒冷凍機稼働開始、2022年冷凍機3台を導入し、2023年はさらに冷凍機1台の導入準備を進め、2024年導入予定となりました。

    具体的な活動

    当社では、マーガリンやショートニングを製造する際に使用している冷凍機の冷媒を、フロンから「自然冷媒」に切り替えます。

    フロンとは、エアコンや冷蔵庫等の「冷媒」として多くの工業製品に使用されている人工物質(炭素やフッ素等の化合物)のことです。フロンは不燃性で人体にも毒性がなく化学的に安定しているため、冷媒としては理想的です。しかし、オゾン層破壊や地球温暖化につながるため、フロンに代わる冷媒が求められています。

    一方、「自然冷媒」は自然界にもともと存在する物質であり、アンモニアやCO2が代表的で、オゾン層破壊係数がゼロな上、地球温暖化係数が1以下と地球に優しい冷媒です。

    通常、冷媒は冷凍機内に密閉されているため、温室効果ガスの発生はほとんどありませんが、漏洩時に発生する温室効果ガスが問題になっています。当社では、この問題に対して温室効果ガスの保有削減を目的に、自然冷媒を使用した冷凍機に順次切り替えていく作業を行うことで、「13.気候変動に具体的な対策を」に貢献していきます。

    現在当社では、2021年1月より自然冷媒を使用した冷凍機1基が稼働しています。

    ※地球温暖化係数:CO2の何倍の温室効果を有するかを表す値(フロンR22:1,810 フロンR410A:2,090)

    • 自然冷媒冷凍機

      自然冷媒冷凍機
    • マーガリン・ショートニングの製造イメージ図

      マーガリン・ショートニングの製造イメージ図

    フロンと自然冷媒の違いのイメージ図

    • フロンのイメージ図
    • 自然冷媒のイメージ図
  • 15.陸の豊かさも守ろう

    • 取り組み

      2030年までにパーム油をRSPO認証品へ積極的に切替します。
      「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」へ参加することで、持続可能な原料調達を推進し、環境保全や動物保護の取り組みに貢献していきます。

    • 2023年度進捗状況

      2023年購入量はパーム油の約20%となりました。

    具体的な活動

    当社では、主要原材料として取り扱っているパーム油をRSPO認証のパーム油に切り替えていく作業を順次行っています。

    パーム油は、西アフリカ原産のアブラヤシの果実から得られる植物油であり、普段私たちが口にするカップ麺やパン、医薬品、化粧品などの幅広い製品に利用されています。また、パーム油は、他の植物油脂に比べて単位面積当たりの収量が高いため、今では世界で最も生産される植物油脂です。

    一方で、パーム油がとれるアブラヤシはどこでも生産できるものではなく、主にインドネシアやマレーシアなどの赤道を挟む湿潤な熱帯地域に限られます。近年は、パーム油の需要が増加していることもあり、その他の東南アジアやアフリカ、中南米の国々においても、アブラヤシ農園の開発が広がっています。しかし、急速なアブラヤシ農園の開発や不適切な農園経営などにより、保護価値の高い自然林や泥炭湿地林の伐採、生物多様性の損失、森林火災の発生、さらには気候変動、土壌汚染など、さまざまな問題が生じています。

    そこで、今後も持続的にパーム油を調達するために、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)が設立されました。RSPOの目的は、世界的に信頼される認証基準の策定と、ステークホルダーの参加を通じ、持続可能なパーム油の生産と利用を促進することです。現在、日本の企業においても多くの会社が加盟をしています。

    当社においても、2017年からRSPOに加盟、2018年にサプライチェーン認証を取得しました。RSPOで認証されたパーム油を使用し、製品を作り出すことで、持続可能な原料調達、さらには環境保全や動物保護の取り組みに寄与し、「15.陸の豊かさも守ろう」に貢献していきます。

    • パーム油
    • アブラヤシ

    私たちの進捗状況をhttps://www.rspo.org/
    チェックしてください